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デッドマンズ・ワイヤー

デッドマンズ・ワイヤー
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散弾銃を繋いだワイヤーを首に巻きつけた男が、人質とともに街中を歩き回る。1977年、インディアナポリスで実際に起きた人質立て籠り事件を題材にした本作は、3日間にわたって街を騒然とさせた事件の顛末を描く。土地を購入してショッピングセンターを建設しようとしたものの、融資元の会社に騙され破産寸前に陥ったと主張するトニー・キリシス。彼は同社の役員を誘拐し、自らの怒りと要求を世間に訴え始める。やがて事件は警察や企業だけでなく、メディアまで巻き込む大騒動へと発展していく。

トニーは不動産ローン会社に財産を騙し取られたとして、同社の社長の息子で役員のディックを人質に取る。散弾銃に取り付けたワイヤーを自らの首とディックの首に括り付け、どちらかが下手に動けば自動的に発砲する“デッドマンズ・ワイヤー”によって、警察の手出しを完全に封じ込めた彼は、そのまま人質を伴って街を歩いて移動し始める。その衝撃的な姿がテレビでスクープされると、事件は一気に世間の注目を集めていく。自宅アパートに立て籠ったトニーは地元ラジオDJのフレッドに電話をかけ、自分が大企業に騙され人生を奪われた被害者だと訴え、社長からの直接の謝罪と損害に対する補償を要求する。しかし、被害妄想を膨らませた彼の訴えに対し、社長側は息子の命がかかっているにも関わらず、まともに取り合おうとしない。

トニーは自らを巨大な権力に立ち向かう英雄に重ね、強者に踏みつけられる弱者の代弁者を自認する。怒りと被害妄想に突き動かされた一人の男が己の正義を証明すべく起こした事件は、過熱する報道も手伝って、いつしか現実離れした一大ショーへと変貌していく。企業にも警察にも不信感を抱く一方で、なぜかラジオDJにだけは絶大な信頼を寄せたり、怒りを撒き散らしつつも時に言葉の汚さを詫びたりと、半ば錯乱したような狂気と滑稽さが同居するトニーを体現した主演ビル・スカルスガルドの演技は見事で、実際の事件を追体験するような異様なリアリティと熱量を最後まで堪能させる作品だった。

原題 Dead Man's Wire
監督 ガス・ヴァン・サント
脚本 オースティン・コロドニー
出演 ビル・スカルスガルド/デイカー・モンゴメリー/ケイリー・エルウィズ/マイハラ/コールマン・ドミンゴ/アル・パチーノ/ジョン・ロビンソン
オススメ度 ★★★

https://movies.kadokawa.co.jp/deadmanswire/